東京染小紋!!!

アップしたつもりでいたのに、アップされていない記事が・・・(^^;;
日付を確認すると、これを書いたのはゴールデンウイーク前ですよorz

しかも、7月7日に開設5周年を過ぎたというのに、生存報告さえできない状態で、我ながらどうしようもないですね~。幸い、どうにか生きてはいまして、二次創作も続きを書いてはいるんです。
これ以外にもアップしようかと思っていた記事はあったのですが、個人情報に関わってくるので熟慮の末に取り下げました。

今は暑さも盛りなので、着物いじりはしていません。夏仕様の嘘つき襦袢を作ろうとしていましたが、本業が忙しいのでそれどころではなくなりました。
そうは言っても、、着物ってハマってしまうと面白すぎてしょうがないですね。
先日(とはいえ4月半ば)、とんでもなくびっくりする出来事がありました。

とある事情で、苦土石灰と牛糞という珍しい買い物のために普段行かないところへ行って、たまたま立ち寄ったリユースショップで事件は起きました。
シーツなどの大きめの洗濯物を干す時に、ちょっとした踏み台代わりになりそうな椅子を探していまして、通りかかったのでちょっとのぞいてみるかって話になりまして。
家具とか、家電製品とか、衣類とか、日用雑貨品などを扱っているリユースショップに立ち寄ったんです。

私は当然、着物とか和装小物などがないかと店内を徘徊しました。で、色々な小物類がごそっと入っているワゴンの中に、数本の反物を見つけたんです。
ひとつは「純毛モスリン」。ウール100パーセントの長襦袢用反物です。一反で長襦袢1着分の分量。これはウールとか木綿など普段着の着物の下に着る長襦袢になります。正絹でも紬とかで明らかに普段着向きの着物だったら下に着ていてもOKです。

近頃ではポリエステルの長襦袢が席巻していて、ウールモスリンの長襦袢や反物は新品をあまり見かけません。長期保管している新古品反物とか、仕立て済みで未着用の長襦袢とかは、ヤフーのオークションや着物のリユースショップに目を光らせていると手に入りますが。
ウールモスリンのいいところはなんと言っても自宅で洗濯が可能だと言うことです。着ていてもポリエステルほど静電気が発生しない上に冬は暖かい。

で、このウールモスリン以外に、正絹の名古屋帯地反物が2本(帯も博多織の単帯とかでなければ、裏地を入れて仕立てます)と、オレンジ系のウールの着物用反物(ウールの着物も昔に比べると出回らなくなったようです。新古品の反物も中古品も、ヤフオクとかリユースショップではユニクロで服を買うより安い値段で手に入ります)。そして素材が不明の反物がひとつ置いてありました。

実を言うと、私はすでにウールモスリンの反物から「大うそつき」と呼ばれる二部式で袖が脱着可能な長襦袢を手作りしたんです。だからモスリンは買わなくてもいいかと思ったんですが、、、なんとこの反物は一反で300円という破格の値段! 長襦袢一着分で300円!
通常、長期保管した新古品でも1000円前後はします。ここは着物専門のリユースショップではないので(それで勝負していないしそれを求めてくるお客さんもほとんどいないし)、そういう価格設定なのかもしれません。

問題は、素材不明の反物一反。値段は1500円です。通常、織物なり染め物なりの反物には端っこの方に産地とか製法とか素材が刻印されていることがほとんどなんです。小千谷縮とか十日町紬とか大島紬とか。製造元の会社名とか。場合によっては織物協会などの認定印とか、作家名が入っている場合もあります。
この反物、なぜか巻き取り方が逆になっていて、袋になっている方が端にでていて、本来反物の端にきてその反物の出所を明かしてくれる表記が反物の芯の方に隠れてしまっていました。

一反、着物1着分で1500円。手触りだけでは正絹なのか化繊なのかはっきりと判別がつきません(こういう時って、反物の端っこの糸を切ってそれを燃やすぐらいしか判別方法ってないんですよね。絹だった場合、動物性タンパク質が燃えた臭いがしますし、化繊だったら石油臭くなる)。でも、普通に考えたらこの値段は化繊のはず。ポリエステルの洗える着物の反物である可能性が高い。

色は瑠璃紺に近い明るめの紺色。そこに小さな花柄が赤と白と黄色を使って描かれている。色的にも柄的にも上品な小紋として着用できそう。まず間違いなく赤い帯か白い帯が合わせられる。これを買って単衣に仕立てたら、雨の日でも気兼ねなく外に着ていける気楽な外出着にできそうです。
洗える着物というと、一番有名なのは東レのシルックですが、これは新品で買うと反物だけでも最低5万ぐらいはします。裏地付きで仕立てるとなると、消費税を含めれば10万近くになってしまうんです。

買うかどうか非常に迷って、母としばらく押し問答をして結局買ってしまいました。私的に迷ったのは以下の3点。
①自分で裁断して単衣を仕立てられるか。
②それだけの時間が取れるか。
③万一、自力で仕立てられなくてプロに依頼した場合は2万ぐらいかかる。

母が絶対にこれは「買い」だと言ってきたのは、
①化繊にしてはかなり上品な色で、柄も凝っている。
②色味は明るいけれど地味目だから50を過ぎても着られる。
③手持ちの帯で合わせられるものがあるから仕立てれば即着られる。
④化繊の単衣は持っていない。長襦袢で調節すれば真夏以外は着られるし自宅で洗えるから便利。
⑤この値段なら失敗してもはぎれとして何か別の用途に使ってもいいじゃないか。

以上5点。最大の決め手は反物を顔に当てて見ると、私にすごく似合うということでした。

まあ、着物ってまっすぐ裁断してまっすぐ縫うだけではあるんですよね。浴衣とか単衣なら裁断寸法を間違えず、縫うべき場所をしっかり縫えれば失敗することはほとんどありません。裁断はともかく、縫い間違いをしたらほどいてやり直せばいいだけ。
袷になっちゃうと、裏地をつけるためにかなり手順が複雑になりますし、寸法通りにずれずに縫い上げる技術がいるそうなんですが。単衣なら半年から一年ぐらいのスパンで時間をかけて自力で作ってもいいかなと。

あ~あ。買っちゃった。知らないぞ、知らないぞと思いながら(もはや石灰と牛糞は頭にないw)帰宅して、買ってみた反物を開いてみました。本当に反物の端っこが一番内側に巻き込まれていて、最後の最後まで正体が分からなかった。

反物の端には次のような文字が染め抜かれていました。

「東京染」
「手付引染小紋染」

????????????????

反対側の端には赤い朱肉で証明印が押されています。

「檢査合格之證 絹人繊織物檢査協会」

????????????????

思わずググりました。

東京染=東京染小紋!!!!!
君は伝統工芸品ではあーりませんか!!!!!
なんじゃそれ(@@)!!!?

っていうか、いいのかリユースショップ!! これ、正絹で手染めの反物なんですけど!?
あんな値段で売り買いしていいものではない気がするんですが。もうちょっと高くてもいいんじゃないか?

これには母娘ともども「あわわわわわ(@@)!!!」となりましたわ。
で、結局「いいものだからプロに依頼して袷に仕立ててもらいなさい」と言われましたわ。
ええ、言われなくたってそうしますとも。君はこんなところで1500円で売られていてはいけない。私がプロに依頼して正絹の裏地と八掛をつけて袷に仕立てる。そして生きている限り着倒しますだ!(でも裏地代と仕立代で総額3万近くしそうだな(^^;; )

これ、売った方も買った方も着物の知識がなかったのかなあ?
おばあちゃんの遺品を孫が整理したとか???
商標のマークが現行の「東京染小紋」と微妙に違うから、30年ぐらい前に購入して仕立てずにずっとタンスに保管されていたものなんじゃないかとは思うんですよね。いかにも古そうな、昭和のだよね?と思われるタグが付いていましたし。

反物の隅っこが一番内側に巻き取られた状態で売りに来たのかなあ?
よほどの着物好きか、和裁の技術のある人しか買わないと予想してあの値段設定なのか?
う~ん、確かに単衣に仕立てたとしても仕立代は18000円ぐらいはするし。自分で仕立ててまで着ようって思う変わり者もそうそういないのかもしれないけれど。

私、自分史上一番着物にお金をかけたのは、祖母の着物を洗い張りして仕立て直した時なんですわ(振袖も着なかったし。山のように着物がある環境で育つと、たった1、2回しか着ない着物に百万近くもかけるなんて馬鹿らしく思いますもん)。何しろ昭和30年頃に反物を購入して祖母自身が直し直し着ていたものなので、洗い張りして、真新しい胴裏と八掛に交換して仕立て直してもらいました。

この時は洗い張り仕立て直しセットのセール価格だったので、胴裏と八掛を買っても総額で30000円ほどで済みましたけど。あとはヤフオクで1000円の古着の着物を買ったり、100円の帯揚げ(一部黄変アリ)を買ったり、まとめ売りで1本あたり250円の名古屋帯(リユース)を買うとか、激安着物ライフをしていますw

祖母の着物を直した時は、身丈が足りなかったので裄だけ長くしてもらってそれ以外のサイズはそのままにしました(継ぎ布を入れて身丈を伸ばすと衿にも布を足さないといけないので)。もしこの反物を仕立てるとしたら、はじめて自分のサイズを計ってぴったりの着物を作ることになります。
とはいえ、いつのタイミングで仕立てに出そうか。非常にいいものを手に入れましたけど、相応の扱いをして大切に使う責任もセットでついてきていると思っています。

了子

追伸

な、なんと! この反物にぴったり合う正絹の八掛生地を500円で入手しました。
正絹の胴裏も1000円でゲット!!

割引キャンペーンを使えば2万以下で仕立てが可能になりそうです。
とはいえ、いいものなので撥水ガード加工をしてもらうつもりでいます。