もし本当に紋章を経由して歴代の騎士の記憶を継承できるなら、確かに人間離れした知識と経験をもって生きている存在なんだよなあ、龍の騎士って。まあその記憶も、戦術だとか戦ってきた相手に関するデータとか魔法や闘気などを使った技とか薬草や医療的な知識とか・・・とにかく戦いに有利となるものに特化されているんでしょうけど。
仮にそれぞれの騎士たちが生きていた時代に起きた事件とか、接触した龍・魔族・人のデータも受け継がれるなら、地上随一の歴史学者たり得るかもしれない。それはともかく、あのテランの湖底神殿で、バランと竜水晶は初対面(?)のようだった。つまりバランはあんな神殿に行かなくても自分が龍の騎士だと分かっていたということになる。そればかりか世界創造から龍の騎士誕生のいきさつまでをとうとうとダイに語り聞かせているあたり、その辺の知識はしっかりと身についていたらしいことが伺える。
では、バランはどうやって自分が龍の騎士だと知ったのだろうか。ラーハルトの説明から可能性として考えられるのは、やっぱり成人して紋章の力を使いこなせるようになると、騎士として覚醒するということなんでしょう。自分が龍の騎士であることやその使命だとか、戦いに必要な知識は望まなくても勝手に手に入るんでしょうね。なんだか覚醒してしばらくは頭が痛そうな気がするけど。もしも一気に知らなかったはずの知識が入ってくるんだったとしたら。私だったら、容量オーバーで頭が壊れるに違いないわ。
歴代の騎士が経験してきたこととか得た知識とかが、ある程度は継承されていると思われる描写はこの他にもある。たとえばソアラに妊娠を告げられたときは、「まさかこの私に子どもができるとは」って感じの驚き方をしているし。相当レアなケースか前代未聞と言っていい出来事だったんでしょう。それから、2人の逃亡先がテランなのも、もしかしたらあそこなら正体がばれても追い出されないと判断していたのかもしれない。テランは龍の神を信仰している土地柄で、龍の騎士に関する伝承と信仰がある。
もし、もしそういう知識を持っていたのなら、なんでテランの王様に仲裁を頼まなかったんだろう? やっぱり「人間なんかに借りを作るわけにはいかない」とか考えてたんだろうか。なんだかなあ、アルキードとテランってけっこう近いし。どういう経路で逃亡したかにもよるとは思うけど、目撃情報とかを丹念に聞き出せば、すぐに見つけ出されそうだし。あそこに居を構えたのはテランなら安全という意識からなんだろうか。「森の奥深く」だからどこの国にも属さない場所としてあそこを選んだのだろうか。もっと遠くていい潜伏先を探せなかったのかなあ。
え~と、いつもどおり話が脱線したので元に戻しますと、おそらくテランなら見つかって正体がばれても追い出されないという目算があったか、それ以外にも事情があったんだろうと思うわけですよ。一見すると人間だけどそうではない龍の騎士にとって、人間じゃないと分かれば排除されるような社会で生活するのは居心地が悪いはず。歓迎されなかったとしても追い出されない場所って、実は貴重な場だったのではないか。そういう妄想から私のSSは始まっているんです。
で、非常に便利なこの紋章の力なんですが、逆に不便というかまずいこともあると思うんですよ。特に親から子へ継承されてしまう場合。あの・・・両者に面識が全くなければいいですよ。それって赤の他人だもん。でも、ダイとバランの場合、それ相応には接触しているので、知ってしまったら気まずいこともあるんじゃないかなあと。
まあこの場合、気まずいというか気恥ずかしい思いをするのは主にダイの方だと思いますが。だって、バラン死んじゃってるし。ダイの肉体にバランの魂がずっと宿り続けているわけではないだろうと思うんですよ。そこまで子離れできないパパだとは思えない。バーン戦後はバランの魂は天界に帰っているだろうと。そうなると、バランは自分の記憶を垣間見たダイが何を思ったかは関知できない(ハズ)。
そうなりますと、バランとソアラの出会いとか馴れ初めを見て「全くやってくれるよなあ、父さんも」などと気恥ずかしい思いをしているのはダイ1人でしょう。もしもソアラとの死別後に浮いた話があったり、バーン配下の魔族の女性なんかに言い寄られている記憶なんかが出てきたりした日には、幻滅されてしまいそうだわ。天界で青くなっていなければいいんだけど・・・いかがでしょうバラン様?
了子