認知機能は上がったけれど

佳子が仕事に追われているので、今週末は私(了子)も実家に滞在して父の介護を手伝う。私だって一応はこういうこともやりますよ。うん。

リスペリドンという非定型抗精神病薬をやめてグラマリールイクセロンパッチって薬に変更してから、確かに父の状態は極めてよくなった。ぼーっとしていて呼びかけに応じなかったり、こちらの言っていることが理解できずにぽかんとしていたり、意味のない数字をひたすら言いつづけたりすることがめっきり減った。

会話が成立するし、意思疎通が可能になった。「ズボンを替えるから足を上げて」と言えば、足を上げてくれるようになった。以前は、こちらの言っていることが分からなかったり、介護上の指示が理解できなかったり、介護抵抗することが多かった。特に、口周りについたご飯粒などを撤去しようものなら烈火のごとく怒り出して、殴られることもあった。そこにいないはずの人の名前を呼んで、『あそこにいるからこっちへ呼んでこい!』としつこく要求されて困惑させられることもあった。その当時に比べれば、ずいぶん症状は改善してきている。幻覚の症状も治まりつつある。

でも、困ったことに夜寝てくれない! ベッドに寝かせても、1時間弱で起き出して、冷蔵庫の食べ物をあさる。どんなに止めても、バナナとヨーグルトを際限なく食べてしまう。今、夜中の3時だけど、10時から2時の間にバナナ4本とヨーグルトを2パックも食べたわ。さすがに食べ過ぎだよ(@_@) 頻繁にトイレにも行きたがるくせに、トイレに行っても排尿や排便はない。ちなみに、介助しないと自力ではおむつを外せない。連れていった時点でおむつにしてしまった後ということが圧倒的に多い。

困り果てて、ごめんね(><)と思いつつも父をベッドに縛り付けた。そうしたら、1時間ごとに大声で家族を呼ぶ(涙) これを書いている内にも、2回呼び出された。これじゃあ、確かに介護する側の身が持たないわ! どうやら食に関する異常行動はピック病、幻覚と夜間の徘徊はレビー小体型の認知症の症状らしい。でもってそもそもの原因が脳梗塞だから、脳血管性認知症の特徴も出ているらしい。何だったっけ? あ、自分がおかしいという自覚があったり、尿失禁が多かったりすることだったかな?

たまりかねて睡眠薬を飲ませたこともあったんだけど、睡眠薬(ハルシオン)を飲ませるとかえって半分眠っているような状態で室内を歩き回るから危険なのだ。私も一度だけ目撃したけど、まるで夢遊病だよ。こちらの声は聞こえていないみたいだった。半分眼をつぶっていて、うわごとばかり一方的にしゃべる。畳の上で足を滑らせて尻餅をついても、自力で立ち上がろうとしなかった。意識がもうろうとしていたみたいだった。

学者だけあって、佳子は全く分野違いでも必要な文献や情報を捜し出すことは得意みたい。薬の効果や副作用が分かる本を調達してきて、リスペリドンがレビー小体型認知症に悪さをすることを突き止めていた。なんでも、そもそもレビーはパーキンソン病と近い症状を出すらしいんだけど、リスペリドンはその症状を悪化させてしまうことがあるらしい。

それにしても佳子が『仕事にならない!』と愚痴ってた意味がようやく分かった。あの子、基本的に夜に論文書いたり、講義準備したりしているのよね。夜の方が邪魔が入らなくて集中できるらしい。まあ、分からなくもないけれど。夜ならセールスの電話はかかってこないし、宗教の勧誘者がチャイムを鳴らすこともないしね。だから1時間ごとに起き出す父に付き合っていたら、論文も書けないし、講義準備だって進まないわけだ。朝、父をデイサービスに送り出してから寝ると、お昼過ぎぐらいまで眠っちゃうでしょうから、確かに仕事を辞めるか寝るのをやめるかの二択になるのもうなづける。佳子はこの2週間、寝るのをやめたらしい。うん。お前は勇者だよ。

よっぽど父に適合する睡眠薬か抑制系の薬が見つからないと、在宅介護を続けるのは難しいかもね。佳子も今年の頭に卵巣とっているし、再発のリスクは高いと言われているらしいし、無理は出来ない。させられない。『再発してもう1つとったら、雌じゃなくなるね(笑)』って、しゃれにならんよ。

何はともあれ、父を夜間に寝かしつける方策を考えないとね。

了子