佳子:でも、何だかんだと、当初予定よりは人が集まった葬式だったね。
了子:親戚とご近所と仕事仲間をあわせても25~35人ぐらいだろうと予想していたんだけど。
佳子:蓋を開けてびっくり。結局香典袋が50ぐらい集まった。弟の同僚や会社関係者、夫妻で来てくれたご近所さんがたくさんいた。だから通夜と葬式あわせるとのべ60人以上が参列してくれたことになる。
了子:当初予想の2倍近いよね。でもトータルで見るとけっこう成功裏(?)に終わった葬式だったと思う。
佳子:うん。ここは匿名性の高いブログなので、ぶっちゃけて公開します。いただいた香典の合計は2日間で538,000円でした。その後お二方が慰問に来てくださり合計で548,000円。
了子:受付を担当してくれた田村さん(実家のお隣さん。元は官公庁にお勤めで葬儀の受付手伝った経験が豊富らしい)もおっしゃってたけど、この規模の葬儀にしては額が大きいと思う。普通30万円台だって言ってた。
佳子:そりゃあ、親戚の協力が大きいから。おやじがそうしたからなんだけど、義父母や兄弟(我々の祖父母と伯父伯母)が亡くなった時は必ず5万円包んでいた。そのお返しでけっこうな額を包んでもらっている。今度伯父か伯母が亡くなったらそれだけの額を包まなくちゃいけない。
了子:そう、それだけで15万下駄を履いているようなもん。その上、弟の会社の社長さんと専務さんがきてくださった。
佳子:みなさま、ささやかな香典返しですみません。
了子:これに関しては必要以上のお返しができないし、これでいいんでしょう。で、支出の方は?
佳子:私と母名義で出した供花の金額を除くと、合計1,149,000円でした。差し引き約60万円ですね。払った費用は。
了子:非常に安く上がったと思う。それにしてもいい葬儀会社を見つけたよね。
佳子:うん。父を預かってもらっていた老健に行く道すがらにあったんだよね。それで、あそこに聞いてみようという流れになった。結果的に大正解。そこの社長さん、本業は司会者で各地のセレモニーを見てきた経験がある。見積もりも的確で何にいくらかかるのか、飛び込みで相談に行ったその場で細かい見積を書いてくれた。
了子:いやはやすごいね。結局四十九日法要もそこをお借りして開くことにしたのは正解だと思うよ。
佳子:うん。お墓がまだできあがらないから法要と同時に納骨は無理。お骨同伴で会食するには一般のレストランでは難しい。そうなると、お寺かセレモニー会場になる。でも、うちは菩提寺がないから。
了子:そりゃあ、両親ともに末っ子だからね。檀家になるとけっこう大変みたいだけど。
佳子:そうそう。母方の伯父が困っていたね。菩提寺が本堂の修復をするので70万円のカンパ(お布施)を求められたって。年金収入しかない身ではキツいって。
了子:それってほぼ一般人の2ヶ月分以上の給料に相当するじゃん。分割にしてもらわないと払えないよ(TT)
佳子:そうは言ってもお寺からすれば檀家さんの協力を仰がないと寺を維持できないわけで・・・。
了子:そうなんだよね。いっそのこと檀家総出で改修事業に労働力を提供するとか。大工さんとか建設現場での経験がある人をリーダーにしてできる人ができることをするなんてどうだろう? 女性は作業ボランティアのお昼ご飯を用意するとか。
佳子:素人は使えないでしょう。事故が起きたりしてかえって厄介な事態になりそう・・・。
了子:私なら事故って死んでもいいや。お寺のために功徳を積んで極楽にいけそうじゃん!
佳子:何そのジハーディストみたいな思考は(笑)!?
了子:人間死ぬ時はどんなに些細なきっかけでも死んじゃうじゃん。おとんがそうだったみたいに。それなら本堂の屋根から転落して死ぬのも悪くない。佳子だって本と本棚の下敷きになって死ぬのも悪くないなんて言ってたじゃん。
佳子:つまり殉職のようなもんですね。海でおぼれて死ぬよりはそっちの方がいいかな。
了子:まあ、死に方なんて選べないけどさ。その割におとんはいいタイミングと方法で逝ったと思うな。
佳子:だからタイミングはさっぱり良くないよ! あと数ヶ月で認知症専門の療養型病院に入院する手はずだったのに。
了子:病院に入院するぐらいなら、多少寒暖差があったり設備不十分だったり家族と喧嘩したりしても家にいたかったんだよ、たぶん。おやじは。
佳子:そんな・・・。あそこの病院は昼夜を問わず(外科的な病気などで生命の危険がある時を除き)基本的に拘束しないし、強烈な精神薬を飲ませて行動の自由を奪いもしない。おまけに医師と看護師が常駐している。理想的な環境で月額15万円ちょっと。老健に入所しているのと費用としては変わらない。今までいた病院と比べると格段に待遇がいいのに・・・。
了子:それでおやじ本人が幸せに過ごせたかどうかは分からないよ。拘束された環境でも毎日家族が来てくれていた方が良かったかもしれないし。
佳子:それは無理だよ。おとんには安全でできる限り快適な環境で過ごしてもらって週末に顔見せに行く。私が自分の人生を犠牲にしないためにはそれが最低ラインだった。そしてもう少しで妥協ラインになると思ってたんだけど。
〈つづく〉