とにかく着付け教室に行って思ったのは
1、着物業界人が素人に着物を買わせようと躍起になる
2、それに懲りた素人と、身近な人が着物を無理に買わせられるのを見た人が「着物は買うまい」と決意する
3、ますます着物が売れなくなる
4、着物が売れないので、少しでも着物に興味を持った人をどうにかカモにしようとする
こんな感じの悪循環が業界全体に起こっているのではないかってことでした。少なくとも私はそういう印象を受けましたね~。
私が通っている初級講座では、着物についての座学講座と実際に様々な反物に触れる授業がもうけられているんだけど、その時に自称「着物デザイナーの先生」が講義に来て「安くしますから買ってください」という攻勢を着付けの先生と一緒にかけてきたんですね~。
着付けの先生達はカリスマのようにその着物デザイナーの先生を持ち上げていて、「いまだからこんなに値引いてくれるのよ」といっていましたけど、私はゲスい商売をしているチャラい男にしか見えませんでした(爆笑)
その道では立派な人かもしれないけれど、私にはカリスマぶっているイタイおじさんにしか見えなかった。私は専門領域外の人にきちんと届く真摯な言葉を持ち合わせているかどうかを人を見る時のモノサシにしていますんで。あくまで私のモノサシで計った時に長さが合いませんでしたってだけですよ。
結局カリスマとかプロって呼ばれる人がどうこう言うことよりも、自分が納得できるかどうかだと思うんですね。だって着るのは自分なんですから。いくら高いものを勧められても、普段着として見栄えより着心地優先で着物を探しているのだからウールとか木綿でいいと思っています。
私は「着付け」に関しては素人ですが、「着物」に関しては身内に和裁士がいたので、それほど素人ではありません(残念ながら)。祖母が当時どれぐらいの価格でどこで反物を買っていたかを知っています。で、呉服屋はわざと高い値札をつけておいて値切っているように見せかけてセット売りをするってことも知っていました。まあ、そもそもそれほどお金に余裕がないので、文字どおり無い袖は振れなかっただけでもあるんですがw
祖母は百貨店の呉服部門で反物を調達していて、今残っている反物の端切れには「伊勢丹」とか「西武デパート(懐かしい)」とか「丸広百貨店(埼玉らしいな)」などと表示されています。あとこれは曖昧なんですが、祖母は百貨店の着物を仕立てる下請けも引き受けていたようなんですね。幼少期の母がぼんやりと百貨店の人と祖母で仕立てについて話しているのを記憶しているだけなのでどこまで信憑性があるか分かりません。もしかするとそういう経緯で若干安く反物を仕入れられたのかもしれません。
そう。100%安全なお買い物はやはり百貨店です! すべての呉服屋さんが悪い商売をしているとは思いませんが、中には相手が素人で一見の客だと(お得意さんからの紹介とかではないと)相場よりかなり高い値段で売りつけるっていう話は耳にしたことがあります。
大抵の百貨店は呉服屋さんから始まっているので、デパートの呉服部門は伝統があるし、その百貨店全体の信用に関わるので、変なものを法外な値段で売ることはしません。でももちろん高いです。以前百貨店の呉服コーナーにお邪魔した時、ネットで3万円ぐらいで手に入りそうな化繊の道中着に5万円の値札がついていました。安くはないけれど、失敗するリスクはないので、本当にいいものを一着作りたいって時は迷わず百貨店呉服部門に行こうって思っています。
この講座の時にサイズが合うか、直すならいくらかかるか聞くつもりで持って行った着物は、一様に「古くさい」「古くさく見せないためにせめて八掛を同系色に交換すべき」って言われたんですが、全部断って持ち帰りました。というのは、私が着たいと思っていた着物は直してまで着る価値がないと言われ、別に着なくてもいいやと思っていたものを直して着るように勧められたからなんです。
古い着物を見て育ってきたせいか、着たい色柄って伝統柄に伝統色なんですよ。もうこうなったら「昭和の着物」を私なりに着こなしてやろうではないかって逆の方向に燃えております(大笑) 流行遅れだとかどうだとかって問題より、私が着たいか着たくないかですし。
その中にあった付下げは昭和40年代当時10万円で買った反物を祖母が仕立てたものなんですが、白系の着物なので母は2回シミを作って染み抜きをしていて既に数万かかっているそうなんです! その着物に12万もかけて染み抜きと黄変抜きをして胴裏と八掛を交換して仕立て直すかって話ですよ。
それなら、お金を貯めて20万ぐらいで新しく私にぴったりなサイズで着物をあつらえる方がいいと思うんですね。オフホワイトの羽二重で、トロントロンズルズルってしている生地なので、着付けにくいし着崩れするし、しかも仕立てにくかったらしいという曰く付きの着物だそうで(笑)
そういえば、「洋服にたとえると紬はジーンズ、小紋はスカートやワンピース」って教わったけど、ジーンズはジーンズでもリーバイスとかエドウィンの高価なブランドジーンズって感じだと思うなあ。だって紬も大島紬とかの本当にいいものだと数百万円台だもの。
しまむらとかユニクロで買った安い普段着は木綿の着物とかウールの着物に該当するんじゃないか。それで本人が気に入っていて似合っていて幸せなら「(自称)着物玄人」がとやかく言う問題じゃないんじゃないかなあ。
着物について知識をかじり、「玄人」の意見を聞いた上で私はそう感じましたね。
そもそも服飾史の本とかをざっと読むと、江戸時代は呉服と太物って別の商売だったようです。呉服は絹で作られたもの。太物は綿とか麻。反物にして巻いた時に、綿とか麻は絹に比べると同じ長さの布でも太くなったから「太物」って称されたそうです。ごく普通の庶民が着たのは太物。せいぜい紬が着られたのはそこそこの規模のお店を経営している旦那衆とか武士階級でもそこそこの地位の役職に就いていた人たち。
母方の祖父は北埼玉の農家の出身なんですが、屋敷の中二階でそこそこの規模で養蚕をしていたそうなんです。これも母とその兄に当たる伯父からの伝聞ですが、お蚕さんに桑の葉を与えたり繭になる過程を観察したりした経験があるそうで、機織り機も何台もあって曾祖母なんかは機織りをしていたらしいんですね。当然、そういう生業をしていた人たちが正絹の紬を着ていたなんてことはありませんw 綿の着物にもんぺで作業ですよ。
年配者からの伝聞でこうした知識を入れておくと、いざ着付け講師の皮を纏った呉服屋さんにあれこれ言われてもカモにされたりしません。知識は武器ですねえwww
以下、着付けを習って着物のメンテナンスをして知った知識を自分の復習用にまとめます。
生糸を紡いで絹糸にして、その糸をあらかじめ染料で染めてから機織りで織った布で作られたタイプの着物(織りの着物とかかたい着物とかって呼ばれることもある)が紬。これは普段着とか作業着として着用されていたものなので、どんなに高いものでも結婚式とか卒業式みたいな式の際には着られないことになっている。とはいえ、絶対紬さえ着られないような庶民も存在していたはずで(着られたとしても古着だったんじゃないか)。
一方、まだ染めていない絹糸を織って布にして、それを染めたり柄をつけたりしたものが染めの着物とか柔らかい着物って呼ばれる。色をつけただけなのが色無地。細かい柄を布全体につけたものが小紋。この小紋には江戸小紋柄とよばれる遠目には無地っぽく見える伝統的な柄があって、これだと色無地とほぼ同格の扱いになるらしい。
色無地または江戸小紋は家紋を入れれば格が上がる。準礼装的扱いになって袋帯を締めると友人とか同僚の結婚式に参列可能。入学式とか卒業式もOK。お茶を習う人はまず一着目として一つ紋入りの色無地か江戸小紋をあつらえることが多いらしい。
小紋の柄は布と布の縫い目で潰れてしまうのが普通なんですが、布を裁って縫った場合にどこに柄が来るかを想定して柄を描いていて縫い目で柄が潰れないようになっているのが付下げ。布を裁って縫い合わせたときに、縫い目をまたいで一枚の絵になるように想定して作られているのが訪問着。この二つは準礼装の扱い。結婚式はもちろん園遊会みたいなパーティーにも卒業式とか入学式などにも着ていける。
で、これらのさらに上位に属するのが第1礼装。未婚女性の第1礼装は振袖。私は作ってもらわなかったし着なかったけれど。これ、未婚である限り着られることになってはいるんだけど、三十路を過ぎて未婚で振袖を着ることを「三十振袖」といってバカにするらしい(笑)
既婚女性の第1礼装は留袖。たいていは家紋が五つ入っていて、黒地におめでたい柄が染められている。最近だと黒地じゃなくてはなやかな色の生地のものもあって、これは色留袖と呼ばれる。黒留袖は喪服とともにお嫁入りの際に嫁の実家が嫁に持たせることが多かったらしい。だから家紋は嫁の実家のものになる。母が持っているのも母の実家の家紋が入っている。
留袖はあくまで自分の子どもとか兄弟とか甥姪など血縁者の結婚式の時にだけ着られるもので、会社同僚の結婚式とかに招待されたら訪問着などで参列するらしい。
着物にしても帯にしても格とか季節とか細かい決まり事があって、いざ着るとなるとそこそこ知識がいる。袷(あわせ)という裏地つきの着物は10月から5月まで。単衣(ひとえ)という裏地なしの着物は6月と9月に。絽とか紗と呼ばれるちょっと透ける素材の着物は7月と8月のみ着用可能。
絽や紗を着る場合は、帯も透けるものにする必要がある。一応、半幅帯は通年着用可。あと博多織の献上柄の帯は夏の着物に合わせてもOKらしい。で、絽とか紗とか麻なんかは夜間の照明の下とか逆光で中がスケスケに見えてしまうので、襦袢にも気を遣う必要がある。
このようにしてひとくちに「着物を着る」っていっても、着物と帯がいくつかあればどうにかなる問題ではないんですよね~。帯にも格がありますし。留袖や振袖用の帯と訪問着や付下げなんかに合わせる袋帯は違いますし。普段着ということになっている紬にきらきらした袋帯は締められませんし。TPOと季節に応じて着物が替わり、それに応じて締めるべき帯も変わってくる。そして我が家には着物の数のわりに帯がないorz しばらくは半幅帯をフル稼働かな。
ヤフーのオークションとか楽天などの中古品市場で安くいいものを手に入れられれば、さほどお金をかけずに身の丈にあった着物ライフを楽しむことは不可能ではないんですが。それでも、知識を詰め込んだ上で何を買ってどの着物にどの帯を合わせるか、帯揚げと帯締めはどれを選ぶか(これにも季節やTPOがある)って考えるとなんだかどんどんものが必要に感じられてきます(^^;;
そう考えるとやっぱり半幅帯が最強ですね。帯揚げも帯締めもいらない(笑) 室内でウールの着物でも着て半幅帯でゴロゴロしていますか。
とりとめもなく書き殴ったけれどとりあえず着物シリーズはおしまい。
了子