バランの「人間不信」

先の投稿に続きまして、バランの人間不信について思うことを。

とどのつまり、ある意味でソアラさんにも人(父親)を見る目がなかったわけで。バランからすれば、どいつもこいつも人間は信用ならないってところまで一時期は思ってしまったのではないかと。そう考えるとヒュンケルの説得は的外れだわ。いや、的を反対側から射抜いている分、逆に心をえぐったのかも。最愛の妻含めて人間は信用ならないっていうのがバランの隠された本音なんじゃないか。父親は説得可能だというソアラさんの判断ミスで、本人は死亡、息子は行方知れずになってしまったのだから。

実のところバランが本当に後悔していることがあるとすれば、自分が感じていた「危険だから遠くに移住しよう」という直感に従わなかったことかもしれない(龍の騎士って命に関わる勘だけは鋭そうだし)。もしかしたら、自分の直感よりもソアラさんの望みを優先してしまった自らの判断ミスを呪い続けていたのではないか。そしてそれを人間に対する恨みとして表現していた。そう言ってしまうと身も蓋もないし、かなり格好悪いことだけど、きっとそうでもしないともーっと心が病んでいたでしょうね~(遠い目)。

バランが記憶の戻ったダイに対して「人間と 奴らに味方するものはすべて根絶する!!」と言っているのはハッタリというかタテマエなんじゃないかと思うんですよ。だって魔王軍に籍を置いていてリンガイアとカールを攻めてはいますけど、人間は根絶していませんからね。バウスン将軍もフローラ様も生き残っている。もし本当に根絶するつもりなら、オーザムを攻めたフレイザードのごとく、「人間どもの痕跡はいっさい残さず灰にする」ぐらいで臨んでもよかったはず。

龍を使うだけでなく、バランが前線に出ていけば人間の根絶なんてたやすいことですしね。まあ面倒くさいし、逃げ惑う女や子どもの命まで取るのは、彼の流儀に反するんでしょうけど(個人的には龍にやらせても同じだよとは思うんですけど)。人間に対する不信感はあれど、根絶しようとするまでの執念を彼の行動から伺うことはできない。人間全般に漠然とした怒りや恨みがあるようでいて、本当に怒りの矛先が向いているのは過去の自分自身なのではないか

あの、親子が本音をぶつけ合って全力で戦うバラン戦は作中でも屈指の名戦だと思うんだけど、湖底の神殿で(もっとバランが説明と交渉と説得に長けていて)きちんと父子として名乗りをあげていたらどうなっていただろうかと思う。あるいはポップがメガンテを使わず、龍魔人化した状態でダイを連れ帰ることに成功していたらというIF設定も想像する。ダイとバランが2人きりになったら龍魔人化は解けるんだろうか? 龍騎衆の埋葬に立ち会ったダイはバランになんて声を掛けるんだろうか?

なんとなくだけど、どういう方向に話が進んでもダイの生存が確認できた時点で、バランが持ち続けてきた人間への恨みとか不信感の一部分は解消されているんじゃないかって気がしている。ダイのライデインストラッシュを見て「よほどよい師 よい戦に恵まれたのだな…!!」と言っているってことは、暗に人間を認めているわけで。より正確に言うなら、ダイと再会したことで過去の自分と和解できたんじゃないかと。そうでなければ、共闘はあり得なかったと思うんだよね。

バランが執拗にダイを人間から切り離そうとしていたのは、実はバランの側にダイに対する隠れた嫉妬心があったんじゃないかと推測している。だって、自分は人間からつまはじきにされて妻子を失う経験をしたのに、ダイは人間の中で勇者として受け入れられているんだもの。

自分だってヴェルザー倒して地上の平和を守ったのに、この扱いの差はなんなんだよっ!!!?(怒)

って思いたくもなりますわ。あーあ。お疲れ様です。人間として龍の騎士様に対する無知とご無礼と恩知らずをお詫び申し上げます

いつもいつもバラン戦を読み返すたびに思うのだけど、あの戦い、本当にバランに救いがないよなあ。探し求めていた息子とは決別することになるわ、息子同然に育てていた部下は戦死するわでもう散々。私だったら数年は凹みそう。絶対orzってなっているよ。それでもバランがどこか清々しく戦場から去っていくのは、離れ離れになっていたけど息子が予想以上に強くたくましく育っていたから、安心したし嬉しかったんだろうな。

そういうわけで、バランの分もダイには幸せになってほしいというのが、一読者としてのせめてもの希望なんですが、あの後ダイは仲間の元に帰ってきたんでしょうか? 作品としては綺麗に完結しているので、別に魔界編を希望しているわけではないんですけど。
私としては、バランにだって幸せな時期はあったと想像したくて、勝手に二次創作を始めてしまったんですが。そして諸悪の根源は龍の騎士を産み捨てるだけで自分では育てようとしないマザードラゴン、あんただよ! とつくづく思うんです。

何が聖母龍だよ、お前はネグレクトの見本のような母親だ、と憎まれ口の3つや4つは言いたくなってくるんですが、何であんなシステムになっているんでしょう? 昔は機能していたけれど、何らかの事情で機能不全になった乳母制度が存在していたんじゃないかと勘ぐりたくなりましたね。それこそ、昔は必ず龍の騎士はテランに産み落とされていて、養親となる一族が存在していたとか。まあ、これは原作者サイドでさえ設定していない部分かもしれませんね。

了子

追記:iPadやiPhonでみるといくつかの写真が横転していたようなのですが、ようやくEXIF情報をいじって修正をかけました。どうやらiPadとか携帯で撮影したもののEXIF情報が生きていたらしく、機種を横にして撮影したものは画像の向きを変えても横向きで認識されていたようです。