ダイ大の謎「ソアラとは・・・内々の婚約ぐらいしていた?」―独断と偏見28

前回の記事とかなり密接な関係の内容になるので、連投します。これ、どうなんでしょう? 氏素性の定かでない男が王位継承権のある王女に近づいて親密な関係になれるんでしょうか? 原作のラーハルトの説明では、バランはいったん王宮に受け入れられているんですよね。だれが彼の身元保証人になったんでしょう? そうじゃなければ宮仕えなんてできませんし、将来の王配候補と目されたりはしませんよね?

この辺りは謎すぎて、アルキード王国規律ユルすぎだろと思わず突っ込んでしまいたくなるんですよ。モンスター退治で大手柄をあげたら、ぜひ我が国に仕官しなさいってことになるんでしょうか? 仮にそうなっても、末端の警備兵ぐらいがせいぜいだと思うんですよ。ちゃんと身元が分かっている人間じゃないと近衛兵などには任命されないでしょう、普通なら。

そうなってくると、バランが王宮に受け入れられるに当たって、彼をバックアップした人間が存在している可能性は高いのではないか? 有力貴族の一員なんだけど、男子が生れなかったから自分の娘にはすでに婿を取らせた。そこにバランが現れたから、彼を養子として迎え入れて宮廷作法を身につけさせ、王配候補として宮廷に送り込んだって感じの策士が。それもけっこう目端の利く人間で、ソアラ姫がバランを気に掛けていることを何かのきっかけで聞き知ったか、見抜いていたんじゃないか。

少なくとも、突如現れた王配候補のダークホースと認識されなければ、やっかみから追い出されることはまずない。たとえソアラの寵愛を受けていても、なんの後ろ盾もなければ恐れるに足りる存在ではないですから。「こいつは王の覚えもめでたく、後ろ盾も強力で、姫から寵愛されているから厄介だ」というように、王配最有力候補に手が届いていたからこその追放だったと思うんです。婚約段階ぐらいまで進んでいたのに、後ろ盾となっていた人間が失脚したか、手のひらを返したか。そういう可能性が高いのではないかと。

もし、ここで後ろ盾になってくれた人間に手のひらを返されたなら、これをきっかけにバランの人間不信は相当高まったはず。結果的には、自分をかばって死んでしまったソアラへの心ない一言が彼の怒りに火をつけてしまったけれど、あれはある種のトリガーだっただけで、もっと前から怒りを蓄積していただろうと思いますしね。婚儀秒読み段階で、実質的には夫婦としての生活が始まっていたのなら、落胆も相当だったはず。だって、きっと生れて初めて家族と呼べる家族ができたと喜んでいたところだったと思うから。

それにしても、けっこうバランはあっさり身を引いている。当初は駆け落ちなんて全く脳裏になかったはず。ソアラを連れ出したって、王宮のような暮らしを保証できないし、彼女を置いていく方が結果的には彼女のためになると疑っていなかったと思う。それでも、妊娠を告げられて駆け落ちを決行している。それはつまり、どう考えても彼が最も尊重していたのは、これから生まれてくるディーノの命と母体としてのソアラだったということ。この状態でソアラを置いていったら、「化け物の子」として強制的に堕胎されてしまう可能性も否定はできない。この世界にそういう技術があるかどうか分からないけれど。

古代ギリシャから存在している「ヒポクラテスの誓い」という医術に携わるものの宣誓文には、「婦人を流産させる道具を与えない」(確か「堕胎薬を与えない」っていう訳も大学の講義中に耳にしたことがある気がする)という文言もあるから、古代から行なわれていたんだろうとは思うんだよね。日本でも、民俗学なんかではその手の話題は見かけるし。妊娠初期であればあるほど母胎への負担も軽い。

おおっとかなり横道にそれてしまった。同族を持たず、天涯孤独の身であるバランにとっては、自分と血のつながりがある家族が生まれてくるってことが大事件だった訳で。ソアラが国も王冠も捨ててついてきてくれるとなってとにかく飛び出してきてしまったんでしょうね。あまりこの時点では先々のことを考えていなさそう。とにかく赤子が無事生れるまで安静に暮らせる場所を確保できればいいぐらいのつもりでテランの森に身を潜めたのかも。でもね~ちょっと近すぎる気が・・・。

色々な点で「もう少しやりようはあったでしょうよ」と言いたい。

了子