ダイ大の謎「よそ者が簡単に王宮に入れる? 後見人がいた?」―独断と偏見26

全く証明のしようがない問題を勝手につらつら考える当連載も、早26回目。相も変わらず「そんなこと分からないよ」という問題ばかりを取り上げていますが、「それを言っちゃあ、おしまいだよ」の虎次郎精神で(なんだそりゃ!?)、いくつかの仮説を考えてみたいと思います。

バランは奇跡の泉までもう少しというところで行き倒れていた訳ですが、たまたまその第一発見者がソアラだったようです。あのシーン、あくまでラーハルトという第三者による解説だってことがミソだと思うんです。バラン自身による回想ではない。つまり、バランがかつてラーハルトに語ったことを、ラーハルト自身が想起して再話している。直接その経験をしていない人間が語っている訳です。

だから、そもそもの情報量が少ないんです。物事が推移していった背景とか、その時バランが本当は何を考えていたのかなどは実は分からない。アルキード事件からそれなりに時間が経過して、おそらくは完全に人間嫌いになってから、バランはラーハルトにことの顛末を語っているはず。場合によっては、バランが本心をラーハルトに対して語らなかった可能性もあるかもしれない。自分に不都合な事実までは語らなかったのかもしれない。だいたいあのコミュ障バランが、自分の感情をたとえ信を置いている部下であっても全部語ったかは微妙でしょう。事実をとつとつと話すだけだったのではないかな。

こういう条件の中でラーハルトはあれだけの話を構築している訳だ。一見するとぶっきらぼうでコミュニケーションに難ありなんだけど、説明や物事を語る能力についてはなかなか才のある人と考えて間違いないと思いますね。ちょっと話がそれたけど、ここにもう一つのブラインドがある。つまり忠義者のラーハルトは絶対に主君の落ち度は語らないだろうということ。主君に不利なることも語らないはずです。あそこまで物事がこじれてバランが追放された背景には語られていない複雑な事情があったんじゃないか。

なかなか本題に入れなくてすみません。バランが王宮に招かれてソアラと深い仲になるには、人間側に協力者がいたのではないかと思うんです。アバンとフローラも城外で互いの素性を知らない状態で出会っていますよね(バランとは逆で、アバンがフローラを助けていますが)。フローラが身分を明かした上で、アバンを騎士団に推挙しているんですが、ああいうことが可能だったのは、アバンがジニュアール家というダイ大・・・じゃなかった代々学者を輩出していておそらくはそこそこ由緒ある家に生まれているからに他ならない訳です。よその国から流れてきた、氏素性の分からない男だったら不可能だっただろうと思うんですよ。

じゃあ、バランの場合は? まさに「氏素性の分からない」男で、彼がバカ正直に「私は龍の騎士だ」と名のっても、「寝言は寝て言いなさい」と言われて終わりでしょう。テラン以外では具体的に知られていない存在のようですし。幼少期に人間界でどういう育ち方をしたのか分かりませんが、身元を保証してくれる養親がいたとは考えにくい(もしいたなら、逃亡を手助けするか2人を匿ってくれそうだし)。そうなってくると、アルキード宮廷に出入りできるぐらいの立場の人間が、バランのことを気に入って彼をバックアップした可能性が考えられるのではないか?

フローラを助けたアバンとか、ロモスを救ったダイは、(少なくとも王家から報奨のために呼び出された時は)許可を得て王宮に出入りできるでしょう。一方でバランはただ行き倒れていた(笑)だけ。たまたま第一発見者が王女だっただけでは、王宮に出入りできるとも思えません。あの出会いのシーンを見る限り、ソアラや同行の女官に回復魔法が使えたようには見受けられませんし、薬草があった訳でもなさそうです。

そうなると、通常考えられる手順としては、

①ソアラに応急処置として泉の水を飲ませてもらう。
②ソアラの命を受けた女官が宮廷や兵舎などに走り、薬草を調達してくるか回復魔法の使い手を連れてくる。
③念のため体力が回復するまで兵舎の一角に滞在するよう許可が下りる。
④実は凄腕の戦士だと評判になる。

って感じでしょうか。少なくとも、一足飛びに仕官はできないんじゃないか。そんでもって唯一の王位継承候補者にお近づきになるまでにはかなり超えなくてはいけないハードルがあるはず。いくら当人同士が相手を気に入ったからといって、他人の目を盗んでそうそう二人っきりでデートなんてできないでしょう。ソアラだって、王女としてそれなりの教育を受けているはずなんだから、立場をわきまえずに男性と肉体関係を持つとは考えにくい(っていうか個人的にはそんなソアラはイヤだ!)。

考えれば考えるほど、ラーハルトの語りでは語られなかった背景があるように思えてなりません。そこそこの身分と家柄なんだけど、残念ながら息子に恵まれない貴族とか将軍家なんかと養子縁組でもしたんじゃないか。そして内々の婚約をすませたか婚約発表後~婚儀直前ぐらいの間に、後ろ盾がいなくなったか、何らかの事件に巻き込まれたのではないか。そうでもなければ、一介の流れ者と王女というカップルが駆け落ちまで起こすとは考えにくいんですが。そしてもしかしたら、アルキード王の発言は単にだめ押しになっただけで、そもそもの人間嫌いの原点は宮廷にいる腹黒い奴らだったんじゃないかという気もしないではない。

了子

追伸:最初情報を目にした時は「誤報?」「またまた~どうせ根拠のない噂でしょう」と思っていたんですが、『ビィト』が再開するようです。いずれは『ダイ大』の「魔界編」も始まったりするんじゃないかと期待しちゃいますね!!