ケイコさん

墓地の契約をすませ、お墓のデザインも大筋で決まり、着々と父の弔いが進んでいる。週明けの5月19日(火)には仏壇と本位牌も届くし、23日にはいとこのケイコさんが来てくれる。24日の49日法要にどうしても都合が付かないので、わざわざ前日にお線香を上げに来てくれるのだ。しかも、横浜からここ埼玉の真ん中まで。なんだか申し訳ない。

実はケイコさんと私たちはいとこ同士と言ってもそれほど親しく付き合ってきた間柄ではない。何しろ年の差が30近く離れているのである! 父からすると姪っ子のはずのケイコさんは、父とたった10歳しか離れていない。そう、ケイコさんと父は『サザエさん』にたとえるなら、タラちゃんとカツオ君のような間柄なのである

なんでそんなことになるかというと、父は8人兄弟の末っ子。で、ケイコさんは長兄である本家の伯父の第一子。長兄たる伯父と父の年の差は18歳もある。はっきり言って兄弟ではなく親子に近い。そんなわけで、中学生頃の父はケイコさんを幼稚園まで自転車の後ろに乗せて送迎していたらしい。はっきり言って姪っ子ではなく妹である。実際、ケイコさんも父のことを「お兄ちゃん」と呼んでいたみたいだ。

35歳で(どうにか)結婚した父は、ケイコさんから「早く結婚しないと私が先にお嫁に行っちゃうよ」とからかわれていたらしい。こういう経緯があるので、ケイコさんの息子さんと私たち姉妹の後に生まれた弟は同じ年である! 長兄と末っ子の間の年の差と、父の晩婚の結果が、いとこの子どもと我々が同世代という何とも奇妙な状態を形成したのである。だから父の実家である本家にお邪魔しても、ケイコさんは嫁いでしまっていて会う機会が皆無だった。それこそ、父方の誰かのお葬式か結婚式でしか会わないorz 

何だかんだと言って、父は「事実上」8人兄弟の最後の生き残りと言っていい状況なので、ごくごく若い頃から父とつきあいがある唯一の存在がケイコさんだ。今でも年賀状のやりとりがある幼なじみはいるが、さすがに南房総からこちらに来ていただくことはできないと思う。だからケイコさんの来訪はありがたい。父もかなり喜んでいるだろうと思う。

それにしても・・・今週末も弟が帰ってきた。弟が帰ってくるといつもなら弟の部屋で寝ている母が布団を持って私の部屋になだれ込んでくる! 曰く「お骨のある一階では怖くて寝られない」らしい・・・。そうなると基本的に執筆を夜中に行なう私はものが書けなくなる。少なくとも独りになれる環境でないとものは非常に書きにくい。昼間独りになれる時間を見計らおうにも、なぜか弟も自室ではなく一階でTVを見ながらゴロゴロしている。何なんだ? そろいもそろって「独りにしないで病」に罹患してるのか?

仕方がないからノートPCを通称「お骨の間」に運んで夜間に執筆することになる。そう、何を隠そう、今私は父のお骨と遺影と位牌を前にしてこの文章を書いている。それも午前2時。丑三つ時である。別に恐怖心はない。それどころか父が化けて出て来ることを待っているぐらいである。残念ながら幽霊となった父を目にする機会は今のところない。

佳子