〈追悼 おとん〉姉妹対談・そりゃあないよ!!!⑤

了子:良くも悪くも目立ってるね。もしかして「おれ、死んだよ~♪」と宣伝したいんだろうか?

佳子:その可能性は高いかもしれない。何しろ四十九日法要と研究会での研究発表が重なっちゃって発表順番の変更をお願いしちゃったぐらいだもん。

了子:あれ、結局変更せざるを得なかったよね。当初は四十九日法要は5月30日(土)にできるかなと思っていたんだけど。

佳子:そう、あと一日頑張ってくれたら、その日程で問題なかったんだけど・・・。

了子:残念ながら死後四十九日目は5月29日(金)になった。で、こういう法要はその日が過ぎてしまう前に行なわないと意味がない。

佳子:そういう訳で5月24日(日)が四十九日法要の日となってしまった。会を主催している先生に発表を代わっていただく結果になってしまった。誠に申し訳ございません

了子:こればかりはしょうがないよ。バッティングさえしなければ準備は進めていたし、発表もできたんでしょうけど。その日は何だかんだと16時ぐらいまでは親戚に対応しなきゃならないし、運転できる佳子は送迎係でしょうし。変な話だよね。もし研究発表日と法要の日が重ならなければ、「おやじが死にました。当日発表するのは難しいです」と連絡する必要もなかったのに。

佳子:やっぱり、おやじは「おれ、死んだよ~♪♪♪」と大々的に宣伝したいんじゃないかと疑いたくなる(笑) まあ、この研究会自体が怪異現象を研究する複合領域の人が集まっている場所だから。宗教学とか心理学とか民俗学とか。

了子:あははははは。めちゃくちゃネタを提供しまくってるじゃん。どうやって死んでどう化けて出てきたのか実地研究の成果を報告しなくちゃ!!!

佳子:そうなんだよね~。図らずもネタを提供している。全くつくづく変なタイミングだわ。

了子:まあ、とにかく少し休みなさいってことで好意的に受けとめておきなよ。研究発表は次回以降になるわけでしょう?

佳子:うん。とはいえあまり休んでもいられないよ。研究も本格再開したいし、何より社会復帰したいね。働いてお金をもらうという状況に戻りたいよ。

了子:くれぐれも言っておくけど、また病気になるまで働くのは論外だから。もう卵巣はひとつしかないんだから、婦人科系にストレスがかかるような働き方は厳禁!!! 睡眠はしっかりとってよ。

佳子:たぶん大丈夫だよ。もう、体力的に倒れる間際まで働くことはできないから。

了子:いや、それ、大丈夫じゃない。ちょっとは反省しておけ!

佳子:反省はするけど、状況次第だよ。気をつけても病気になる時は病気になるし。死ぬ時は死んじゃうし。

了子:まあ・・・それを言われりゃそうだけどさ。気をつけていたおやじだってうっかりおでこを椅子にぶつけただけで死んじゃったもんね。あれ、たぶん同じことを私がやっても死んでないよ。ワーファリンを服用していたことと、そもそも動脈硬化が進んで血管が脆かったせいだろうし。

佳子:そうそう。気をつけていたって死ぬ時は死ぬんだよ。だからできる時にやりたいことをやっておいた方がいいよ。いつまで生きられるかなんて分からないしさ。もう一度東北に大地震が来て、福島第一原発が大爆発って可能性もゼロではないかもしれないよ。今のところは低温状態保ってるみたいだけど。

了子:えっ・・・それはないと信じたいんだけど!!! すべての被災した人たちと、日々たゆまぬ努力をして復興に携わっている人たちのためにも。

佳子:シロートだから私には分からないけれど、結局根本解決されるのは早くて数十年先らしいじゃん。それまでの間、できる限り安全な状態で維持されることを祈っていますが・・・みんながバタバタと死んでいって早く死んだもん勝ちなんて未来だけはごめんだわ

了子:うわ~っ!!! 三流のディストピア小説みたいじゃん!!! くれぐれも安全最優先でお願いしないと。

佳子:そんな状況であの世に行っておやじに会ってみなよ。「おれ、早く死んでおいて良かった♪」とか言われそうじゃん。

了子:そ、それ、すごくむかつきそう(笑)でも、おやじなら満面の笑みを浮かべて言いそう(笑)

佳子:だよね~。あ、おかんと弟が帰ってきたわ。

〈一応、出迎えに行く〉

了子:んじゃ、対談もこの辺で終わりにしますか。夕ご飯として助六寿司のお弁当を買ってきてくれたみたいだし。

佳子:そうだね。味噌汁を作って、みんなで「お骨の間」で夕ご飯にしましょうか。

了子:何その「お骨の間」って(笑)

佳子:だってそのとおりじゃん。お骨と白木の位牌が乗った祭壇があって誰ひとりそこで寝たがらない(笑)

了子:別に化けて出るのがおやじならいいじゃん! 私は普通に隣の部屋で寝てるし。

佳子:明け方の3時ぐらいに「腹減った」って言いながら起こされるんだ。実際、おかんはけっこう起こされている。

了子:それはまたはた迷惑な話だな。霊感とかなくて本当に良かったわ。

佳子:やれやれ。割を食うのは感覚が鋭敏な人間ばかりなんだねえ、この世の中って。

〈おわり〉